「プライバシーブーム」を思い返して

Posted on Sep 15, 2023

私は一時期オンラインでの「プライバシー」にやたら固執していました。
プライバシーは基本的に守られるべきであるものであるという認識は今でも同じですが、その頃の自分は病的なくらいにプライバシーに執着してかなりの犠牲を払ってでもそれを手に入れようとしていました。

「プライバシーブーム」だった自分

FloCが導入されたのを機にFirefoxに乗り換えたり、GmailをやめてProton Mailを使うようにするとかまではまだ良かったです。
FirefoxとProtonは今でも常用しているし、ChromeのWeb整合性なんちゃらAPI(名前忘れたし覚えたくもない)は滅ぶべきだと思ってるのでChromium系ブラウザを常用するつもりは今後もありません。

しかし「プライバシーブーム」だった時期は

  • Cloudflareは信用しないスパイウェアだからわざわざVPS契約してプロキシする
  • Firefoxも信用しない(←???)からLibreWolfやらBraveを使う
  • Google系のサービスは意地でも使わない
  • YouTube見るときは代替フロントエンド
  • GitHubは信用しないので自鯖にGiteaを入れて使う
  • 信用しないサービスを使うときはVPNかTor使う

みたいな陰謀論者みたいことを本気でやってた時期があります。
念の為言うと別にこれらの行為が馬鹿だと言いたいのではなく、中途半端な「プライバシー」を求めるためにここまでの犠牲を払うのが馬鹿げてるように自分には感じると言いたいだけです。

じゃあなんで諦めたのか

プライバシーはもちろんあった方がいいものであるという認識は今も変わりません。だからこそアンチトラッカーを常時有効にしたりNextDNSを契約したり自鯖やVPSを拡充させている訳です。ただそれを求めるあまりに利便性や金銭を失うことは(少なくとも自分の場合は)幸福な感情には全く繋がらないので無駄だと考えるようになりました。
もう一つの理由はプライバシーを極限まで求めようとするとインターネットを使わないという解決策にどう足掻いてもたどり着くことに気づいたからです。
RedditなどでたまにJavaScriptは危険だ、 Intel ME やら AMD PSP(分からない人向けに簡単に説明すると、近年のデバイスに搭載されているOSとは独立して動作するハードウェアベースのセキュリティ機能です)は情報を外部に送信しているスパイウェアだとかいう人を見かけますが、そこまで考えるともはや現代に置いて完璧に自分の情報を外部に漏らさない方法はインターネットを使わない以外考えられなくなります。

加えて私の場合SNSに思考をダイレクトに垂れ流す(しかも削除が難しい分散SNS)という行為を日常的行っており、この時点でプライバシーも何もありません。そんな中、自分を幸せにするものでもないものに利便性だけでなく金銭的な犠牲を払うというのはあまりにも馬鹿げた行為に今の自分には思えます。

もう一つの理由

「プライバシー」と私が忌み嫌っている陰謀論はとても親和性が高いということに実は昔から気づいていました。昔の私はこのことを認めたくなくて目を逸らし続けてきましたが、まあ時期が経つについれて認めざるを得なくなりました。
これは深堀すると海外の分散SNS界隈での政治的な対立と関係してくるそうなのでここではあまり詳しくは触れませんが、興味ある方は調べてみると面白いと思います。

終わりに

今思い返せば「プライバシーブーム」だった私はもはや別人だった気がします。現実世界で色々あって余裕がなかった時期と重なるのでそういう環境がやや過激な思想に自分を染めたのかもしれません。結局今の自分はプライバシーと利便性のバランスを取るという選択肢に落ち着きました。
プライベート性が高い写真などはVPSでセルフホストされたアプリで管理し、なるべくプライベートにしたいけどお金を払うまでもなくセルフホストも面倒なものはProton Mailなどのセキュリティ重視なサービスを使い、スケージュールやToDoはGoogleの便利なサービスを使ってデバイス間で同期し確実に通知が来るようにするといった具合です。
あとは個人的なNASのデータをクラウドにバックアップするときは暗号化するとかでしょうか。

プライバシー重視な方も、逆の方も今一度プライバシーと利便性のバランスを考えてみると幸せになれるかもしれません。